新田菜穂子の壊された日常 11
しみるけいさんによる写真ACからの写真

≪ 二、なんでここにいるんです? 7 ≫



「あーっとですね、師匠。でも、お昼からなんで。ランチくらいならできるかなあ、って。ねえ、菜穂子さん?」


 彩香の問いかけに、菜穂子は満面の笑みで頷く。

だが、一真もそう簡単に引き下がってはくれなかった。


「なら、俺もそのランチにまぜてくれないかな?」


 とんでもないことを言いだす。

 なんで昨日会ったばかりの親しくもない人間とランチなんぞしなくてはならないのか。

人の貴重な休み時間を台無しにしないで欲しい。

菜穂子は軽く咳払いをして、改めて一真を見上げた。


「申し訳ないですけど、ご遠慮いただけます? 
男性たちもそうかもしれませんけど、女子は女子だけで話したいことが山ほどあるんですよ。そうよね?」


 圧をかけて彩香を見遣ると、彩香が急いで首を上下させた。


「あ、は、はい。師匠、ごめんなさい」


 申し訳なさげに頭を下げる彩香の言葉に、一真が吐息する。


「そうですか。なら、しょうがない。今日のところは諦めるとしましょう。いずれまた」


 白い歯を見せてくる一真へ、菜穂子は雑に手を振った。


「はいはい、また」


 去っていく一真の後ろ姿に心底安堵していると、憤慨したような彩香の声が聞こえてきた。

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