新田菜穂子の壊された日常 12
しみるけいさんによる写真ACからの写真

≪ 二、なんでここにいるんです? 8 ≫



「一体何がどうなってるんです?」


 腕を組んで睨んでくる彩香を前に、菜穂子は頬を掻く。


「あーええっと、話せば長くなるのよ」


 どうやったら手早く説明できるだろうか。頭を巡らせていると、彩香が呆れたように肩を落とした。


「とりあえず田中さんにこれ渡しちゃって、ランチに行きましょうか」


 彩香の予想外な提案に、菜穂子は目を瞠る。


「え? いいの? 急ぐんじゃないの?」
「ここから会社が近いのは本当ですし。こんな感じの菜穂子さんをほっておけませんしね」


 微苦笑で応じてくる彩香に、菜穂子は手を合わせた。


「ありがとう。正直混乱しててさ。恩に着るわ」
「まあ、お互い様ってやつですよ」


 くすりと悪戯っぽく笑う彩香へ、人は変われば変わるものだ、と菜穂子は
内心でほんの少しだけ彼女を羨ましく思った。

一つ前を読む   小説の部屋に戻る   次を読む





オープニング背景画像: acworksさんによる写真ACからの写真