新田菜穂子の壊された日常 17
しみるけいさんによる写真ACからの写真

≪ 二、なんでここにいるんです? 13 ≫



 彩香と近くの喫茶店に行ってから3週間後の日曜日。

菜穂子は自動ドアが開いた途端、営業スマイルで応じた顔が瞬時に固まるのを自覚した。


「また来たんですか」


 あからさまに邪険に扱ってみせたのだが、一真が堪えた様子はない。

この男、いろんな意味で強すぎる。

唇を噛み締めていると、一真が柔和な笑みを見せた。


「また来ました」
「すみません。一応止めはしたんですけど」


 彩香が謝りながら今日も田中館長への弁当を持ってくる。

ベージュのシャツと白のタイトな長いスカート姿がショートカットの彩香に良く似合う。


(もしかしなくても、今日は仕事上がりにデートかな?)


 美術館は月曜日が休みだから、日曜日ならば土日が休みの彩香でも合わせやすいだろう。

なんにせよ、上手くいっているのはいいことだ。

菜穂子は一真の推参に苛立つ心をなんとか抑え、彩香へ微笑んだ。

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オープニング背景画像: acworksさんによる写真ACからの写真