≪ 三、たまたま偶然見てただけ、だからね! 2 ≫
(何あれ?)
一真もそう思ったのだろう。
一真がカボチャを拾い上げ怪訝な顔でこちらを向き、驚きの表情を浮かべた。
げ、と菜穂子は変な声をだす。
(もしかしてバレた?)
一体なんと答えよう。
いや、別に悪いことをしているわけではないのだが。
菜穂子は生唾を呑み込む。
しばし身を硬くしていると、一真がこちらをすり抜けて横へかがみ込んだ。
「おばあちゃん! 大丈夫?」
一真の小さな叫びに菜穂子は視線を隣へと移す。
転がった玉ねぎと人参の袋にいくつかの冷凍食品を見て、
自分も慌てて自転車をロックした。
「大丈夫ですか?」
おばあさんに駆け寄ると、一真がぎょっと目を剥いた。