新田菜穂子の壊された日常 25
しみるけいさんによる写真ACからの写真

≪ 三、たまたま偶然見てただけ、だからね! 4 ≫



「い、いいえ! 私たちカップルなんかじゃ……」


 だが、そんなこちらの言葉を遮って、一真がおばあさんの手を取る。


「ありがとう、おばあちゃん。実は俺もそう思ってたところなんだよ」
「あ、あなた何言って……!」


 一真のTシャツの腕を引いて鋭い視線を走らせるも、
一真とおばあさんの話は続いてしまう。


「あらあら、ごちそうさま。
でも彼女さんを困らせるようなことを言うのは良くないわよ」


 彼女であることを前提に説教するおばあさんに、
菜穂子は感謝すればいいのかもっと否定するべきなのか分からず黙り込む。

対する一真は深々と頷き、真剣な面で首肯した。


「そうだね。これからは気をつけるよ」
「ではね。今日は本当にどうもありがとう。あ、そうだわ!」


 何かを思いついたのか、
おばあさんがごそごそとバッグの中を探り始める。


「これ、さっきそこのお肉屋さんの前で貰ったんだけど、
良かったらお2人で使ってちょうだい」


 出してきたのは小さな2枚の紙切れだった。

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