しみるけいさんによる写真ACからの写真 ≪ 三、たまたま偶然見てただけ、だからね! 5 ≫ 受け取った一真が小首を傾げる。菜穂子は故意ではないものの、いろいろと勘違いさせてしまっているおばあさんが気の毒に思え、彼女の顔を覗き込んだ。「いいんですか? こんなもの頂けるほどのことをしたわけじゃないのに」 転がっていた物を拾っただけだ。だが、おばあさんは手を上下に振って、目を細めた。「いいのよ。これもご縁ってことで、遠慮せず貰ってちょうだいな」「は、はあ」 一瞬ではあるがおばあさんから手を強く握られ、菜穂子は戸惑う。知らず一真と目が合って、次の瞬間力強く頷いたのは彼だった。一つ前を読む 小説の部屋に戻る 次を読むオープニング背景画像: acworksさんによる写真ACからの写真