新田菜穂子の壊された日常 26
しみるけいさんによる写真ACからの写真

≪ 三、たまたま偶然見てただけ、だからね! 5 ≫



 受け取った一真が小首を傾げる。

菜穂子は故意ではないものの、
いろいろと勘違いさせてしまっているおばあさんが気の毒に思え、彼女の顔を覗き込んだ。


「いいんですか? こんなもの頂けるほどのことをしたわけじゃないのに」


 転がっていた物を拾っただけだ。

だが、おばあさんは手を上下に振って、目を細めた。


「いいのよ。これもご縁ってことで、遠慮せず貰ってちょうだいな」
「は、はあ」


 一瞬ではあるがおばあさんから手を強く握られ、菜穂子は戸惑う。

知らず一真と目が合って、次の瞬間力強く頷いたのは彼だった。

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オープニング背景画像: acworksさんによる写真ACからの写真