新田菜穂子の壊された日常 29
しみるけいさんによる写真ACからの写真

≪ 三、たまたま偶然見てただけ、だからね! 8 ≫



 壊れかけたアンドロイドのようになってしまった菜穂子は、
半ば引きずられるようにして喫茶店に来ていた。

そのままコーヒーの注文まで一真1人に任せ、黙ったまま時を過ごす。

やがてコーヒーがやって来て、菜穂子はその芳ばしい匂いにやっと自らの感覚を取り戻した。

コーヒーを一くち口に含み、苦味の中にある酸味を堪能する。

ほっと一息吐いた時、目の前の一真が口火を切った。


「さて、菜穂子さん。単刀直入に言わせていただきますが」
「……なんでしょう?」


 さっきは不意打ちを食らったが、今度はそうはいかない。

菜穂子は丹田に力を込め、覚悟を持って一真を見つめた。

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オープニング背景画像: acworksさんによる写真ACからの写真