新田菜穂子の壊された日常 36
しみるけいさんによる写真ACからの写真

≪ 四、私の顔、なんか変? 1 ≫



「久しぶり」


 待ち合わせのオープンカフェに入ると、さっぱりとしたスポーツ刈りの黒髪に、
かっちりとした濃紺のスーツに身を包んだ田宮が席を立った。

握手を求めてきたので咄嗟に手を振って断ると、決まり悪げに手を引っ込め頬を掻く。

アメリカ生活も長くなり、自然に身についてしまったのだろう。

さっと椅子を引いてくれエスコートしてくれるところなども、
昔より色々と気が利いている。


(付き合ってる頃はゴリゴリのスポーツマンって感じだったのにね)


 くすりとしながらランチの注文を終えると、菜穂子は話を切り出した。


「ご結婚おめでとう」
「ありがとう。……どうかしたか?」


 自分が彼の変化を感じているように、田宮もこちらの変化に気づいたのだろうか。

 ともあれ、これまでのことを説明しなければならない。

そうでなければ、前に進めないのだから。


「ん? あー、んーとどっから説明したらいいのかしら……ええっとね……」


 どこから話したらきちんと伝わるのだろう。

逡巡していると、なんだ、と田宮が背もたれに身を預け、天を仰いだ。

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オープニング背景画像: acworksさんによる写真ACからの写真