≪ 四、私の顔、なんか変? 3 ≫
「それっているってことだろ? 俺より気になるヤツが。あー! ちくしょー!」
いきなり己の頬を叩きだした田宮を前に、菜穂子は動揺する。
「ど、どうしたのよ急に」
慌ててストップをかけると、田宮が射抜くように見つめてきた。
「俺お前に会って『どうだ、俺は幸せだぞ』って後悔させたかったんだ。
けど、なんだよ。たった8ヶ月くらいで時すでに遅しってか!」
オーマイガー、と大袈裟にリアクションを取る田宮の言葉に、
菜穂子は眉根を寄せる。
「なんで8ヶ月? あなたと別れてからかれこれ10年になるよね?」
すると、田宮がこれまた不貞腐れたようなふくれっ面で、頬杖をついた。