新田菜穂子の壊された日常 44
しみるけいさんによる写真ACからの写真

≪ 四、私の顔、なんか変? 9 ≫



「あの、あのね、でもね、私は、このままがいいのよ。
あんまり波風立たないで、のんびりある程度の好きなことができていればさ。
なのに、それを壊そうとするんだもの。あの人の思惑通りになるっていうのがさ。
なんか腹立つっていうか」


 負けたようで悔しいではないか。一真の微笑みを思い出し唇を噛み締めていると、彩香がなら、と身を乗り出してきた。


「本人にもう一度会ってみたらいいんじゃないですか?」
「それがさ、結論が出るまで会わないとか言われちゃってて……」


 あの日、「考えてみる」と言った自分に、「なら結論が出るまで待ちます」と言ってくれた。

言ってくれたのはいいが、「じゃあ、それぞれの場所で仕事を頑張りましょうね」と微笑まれた。

それから「結論が出たら連絡ください。それまでしばしのお別れです」と、
トークアプリのIDだけ手渡され、以来1度も会っていない。


「それはなかなかしんどいですね」


 彩香がこめかみに指を当て考え込む様子を見せる。

あの人それでここのところついて来なかったのか、との呟きが聞こえ、
やっぱりか、と吐息した。

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