新田菜穂子の壊された日常 50
しみるけいさんによる写真ACからの写真

≪ 四、私の顔、なんか変? 15 ≫



「ええっと、それじゃあ、ことの始めは……」


 菜穂子は一真との出会いから今までのことを全て話した。

田中は時に頷きながら聞いていたが、基本的には無言を貫いていた。

しかしむしろそれが功を奏したのかもしれない。

なんの気負いもなく話すことができたため、
菜穂子自身自らの想いの行方が朧気ながら見えてきた気がした。


「……というわけなんです」
「なるほど。経緯も菜穂子さんの気持ちもだいたい理解できてきました」


 田中が探偵よろしく顎に手をあてながら視線を向けてくる。


「つまり菜穂子さんは菜穂子さんなりに理想の告白シチュエーションがあって、
それとあまりにもかけ離れているために、今更素直になれない、と。そういうわけですね?」


 念を押すように尋ねられ菜穂子は目を剥いた。

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