≪ 四、私の顔、なんか変? 17 ≫
「なら、話は簡単です。
今すぐ連絡して、『会いたい』って言っちゃえばいいんですよ」
「わ、私からですか?」
田中の提案に彩香は目を丸くする。
何故私が、とも思ったので知らずキツい視線を送ると、田中がふんぞり返った。
「当たり前です。彼はもう十分菜穂子さんに尽くしてくれたじゃないですか。
今度は菜穂子さんの番ですよ。違いますか?」
「う……」
正論で畳み掛けられ、菜穂子は呻く。
「ほらほら、迷ってないですぐにメッセージを送りましょう。さあさあ」
スマホを指し示しながらぐいぐいと迫ってきて、菜穂子は一瞬だが恐怖を感じた。
「か、館長、なんだか最近随分と強引になられたんじゃありません?」
引き気味に問うと、田中が不思議そうに首を傾げる。
「そうですか?」
きょとんとした視線で尋ねられ、菜穂子は自然中腰になった。