お狐様が嫁になれと言い出しました 34
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≪ 第三章 人ならざる者たち 14 ≫



「そんなこと言ったら私だってそうだよ。
それに人数多いほうが、商店街存続のいい案が出るかもしれないし、ね」
「清美がそう言うなら」
「よし、決まり! じゃあ、リカは早くその時計を預けてきなよ」

 清美はまだ納得のいってなさそうなリカコの背中を押し、一刻屋へ向かわせた。


※※※


(へぇー、結構集まるんだ)

 十人以上はいるだろうか。会合とはいえ、まだ営業時間帯だ。清美は予想以上の集まりに目を見開いた。
 あのあと一刻屋へ修理を頼んだ清美たちは、会合場所である理髪店の居間の片隅に三人並んで座っていた。
真ん中にドンと置いてある大きなテーブルを見知った顔が囲んでいる。

(あ、十和子おばあちゃんのところは、おじさんがきてたんだ)

 清美は先ほど会った十和子の息子を見つけ口許を綻ばせる。他にどんな人がいるのか。
キョロキョロと集まったメンバーを見ていると、会合が始まった。

「えー、本日はお忙しい中集まっていただきありがとうございます」

 丸太精肉店の店主が大きな体を縮こまらせ、額の汗を拭きながらお辞儀をする。

「早速ではありますが時間もありませんので議題に移らせていただきます。
本日の議題は商店街活性化についてです。
ご存じのとおり駅の中にデパートができてからというもの客足が減少しています。この困難を……」

 司会進行役の丸太の話が続く中、清美のそばに座っている花屋と片平文具の店主がひそひそと話し始めた。

「うちの隣なんて、そのせいで先月店畳んじまったよ」
「このままいったら、明日は我が身だよな」
「お前のところはまだいいだろう。うちんところなんて昨日二人しかこなかったんだぜ」

 清美は、議題そっちのけで盛りあがる会話に耳をそば立てた。

「まだ客がきてるんだからいいほうだろう。それよか……」

 二人の会話に喫茶店のマスターが加わる。
周りを確認するように見たあと、内緒話をするように口許を手でかざし切り出した。

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