お狐様が嫁になれと言い出しました 43
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≪ 第四章 こじれる想い 2 ≫



「それは駅の中にできたデパートってことですか? なぜ狸がデパートにまで干渉を?」
「そんなことは知らん。狸の口から出任せという場合だってあるだろう。
そんなことより孝一、われの尾から手を放せ」

 孝一の手から尻尾を引き抜こうとするが、急所ともいえる場所を握られ思うように力が入らない。
天は先ほどより大きな声を出すが、孝一は尻尾から手を放そうとはしなかった。

「出任せ? 何を悠長なことを!」
「うぎゃー! 痛いわ、ボケ」

 孝一に力強く尻尾を握られ、天は全身に雷が走ったような痛みを感じた。
その勢いのまま孝一から尻尾を取り返し、ふーふーと息を吹きかける。

「あっ、申し訳ありません」

 天は涙目で孝一を睨みつける。

「そんなに睨まないでくださいよ、お狐様。申し訳ないと思っております」

 真剣みが足りない。天は、ふん、とそっぽを向いた。

「ですが、お狐様だってひどいではないですか」

 孝一の開き直ったような物言いに、天は明後日のほうを向いていた顔を戻す。

「何がだ」
「先ほどの話ですよ。
仮に狸のデパートの件が口からの出任せだったとしても商店街の店を閉店させているのは狸なんですよ」
「そうだと言っておるだろうが」

 天はそれのどこに問題があるのかわからず、孝一を訝しんだ。

「そうではありません。人間自身の手で閉店に追いやられているのなら、わしだって何も言いはいたしません。
ですが狸が、人ならざるものが人に害を為そうとしているのですよ。それなのにどうして」

 首を横に振り説明する孝一の話に、天は憤った。

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