お狐様が嫁になれと言い出しました 48
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≪ 第四章 こじれる想い 7 ≫



「おー、清美ではないか。ちょうどよいところへきた」

 良人が狸と結託しているとわかれば、男への好意などなくなるはずだ。
天は良人への怒りも忘れ、尻尾を揺らしながら清美に笑いかけた。

「片平さんに言われてきてみれば、あんた自分が何をしようとしたかわかってんの!
良人君に危害を加えようとしたのよ。笑ってごまかしたって駄目なんだからね!」

 睨みを利かせ喚き立てる清美に天は内心で焦りを覚えた。少女は何か勘違いをしているようだ。
このままでは自分の計画が壊れてしまう。天は言い足りなさそうな顔つきをしている清美へ正当性を訴えた。

「危害など、そやつは狸に化かされておるのだぞ」
「はぁ?」

 清美は素っ頓狂な声をあげ、眉を寄せる。
まるで信じていない様子の少女に、天は僅かばかりショックを受けた。

「清美ちゃんその子と知り合いなの?」
「へ? あー、知り合いっていうか神っていうか……」

 良人が会話に入ってきたとたん、清美は態度を変えもじもじし始める。
頬を染め両方の人さし指をつつき合う彼女に、天は怒りで顔を上気させた。

「えぇい何をごちゃごちゃ言っておるのだ! そやつは狸の仲間なのだぞ」
「もうあんたは黙ってて! 良人君が狸の仲間なんて信じられるわけないでしょう」

 再度真実を告げてみても、清美は信じようとはしなかった。それどころかこちらを諫めようとさえしてくる。
天は愕然としすぎて言葉が見つからず、口の開閉を繰り返した。

「まぁまぁ、清美ちゃんもそこの少年も落ち着いて」
「あ、そうだね。ごめんね良人君。この子ちょっと変わってるっていうか」

 宥めに入ってきた良人へ清美が甘えるように上目遣いをした。

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