恋に落ちた瞬間(とき) 12
とちぎさんによる写真ACからの写真

≪ 二、長い付き合いになる人たちとの出会い 5 ≫



「まあ、でも全員からこっぴどく振られてるみたいだけどね。
なんかね、あの人の口説きに答えるとね、体調が悪くなるんだって」
「へ、へぇ……」

 きっとあの霊の影響だろう。
いくら普通の人には認識できなくとも、感じ取ることはできる。
心霊スポットなど安易に行って気分が悪くなったりするのはそのせいだ。

「それにしても、噂ではもう少し溌剌としてる爽やかスポーツマンって
聞いてたんだけどなぁ。見る影もないね。園子が気にしなかったら気づかなかったよ」
(あの人が背中にいるんだもん。当然よね)

 取り憑かれてから何日経っているのかはわからないが、
ずいぶんと生気を搾り取られているようだ。
このままで神楽の命そのものも危険かもしれない。だが、自分にはどうすることもできない。

(除霊を勧めてみる?)

 しかし、知り合いでもない人間からそんなことを言われても逆に不信感を募らせるだけだ。
かといってこのまま見過ごすのは寝覚めが悪い。

 園子が悶々と悩んでいると、水色と薄茶色のラインが交差した格子柄の白いシャツに
黒のチノパンを履いた男性が神楽へ話しかけていた。

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