恋に落ちた瞬間(とき) 36
とちぎさんによる写真ACからの写真

≪ 二、長い付き合いになる人たちとの出会い 29 ≫



(みんなはどれにするのかな)

 園子はメニューを眺めながら聞き耳を立てた。
そこへ青木が、はい、はーいと言いながら手をあげる。

「おれっち、ビールね! 生ビール大ジョッキで!」
「いや、先輩。今日はお酒なしの方向でお願いしますよ」

 岡部の要請に青木は不服そうな顔をする。

「えーお酒飲める奴は飲んでいいじゃん。ねぇ、美佳ちゃんだっけ?
君はお酒飲める年齢なんでしょう? 一緒に飲もうよー」

 青木が馴れ馴れしく井上の名前を呼び誘うが、井上の方は嫌そうな顔をした。
だがそれも一瞬のことですぐに口角あげほほ笑む。

「ごめんなさい。私、山本君と同じでお酒飲めないんです」

「じゃ、じゃあ、飲みたい人は飲むってことで、清水先輩何飲みますかー?
一緒に頼みに行きましょう。亮治、行くぞ」

 山本が席を立ちあがり、清水の腕を掴んで立たせた。そして岡部へ目配せをする。

「あぁ、そうだな。えっとちょっと席離れますね」

 見事な連携だ。

 園子は青木を連れ部屋を出て行った山本と岡部の後ろ姿を眺めながら感心した。
静まりかえった室内に清水の声が響く。

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