恋に落ちた瞬間(とき) 37
とちぎさんによる写真ACからの写真

≪ 二、長い付き合いになる人たちとの出会い 30 ≫



「ごめんね。
普段はもう少しまともなんだけど、ちょっと就活が上手くいってないみたいなんだよね」
「え? 早くない? まだ選考始まったくらいだよね?」
「そうよね?」

 佐々木の疑問に井上も頬に手をあて首をかしげた。

「うん。まだ始まって数週間なんだけどさ。あいつああ見えて繊細でね。
第三志望までの会社全部書類選考で落ちちゃったらしくって、それからちょっと、ね」

 苦笑する清水に佐々木と井上は沈痛な面持ちで黙り込んでしまった。
近い将来、自分たちも通る道だ。それを思って不安になったのかもしれない。
そんな中、公子があっけらかんと言い放つ。

「へえー。人って見かけによらないんですね」

 たしかにお酒の力を借りてるだけだったのかもしれないが、先ほど見た青木の印象からは
精神面が弱い人には見えなかった。
むしろ、なんでもござれというような強靭な心臓の持ち主のように見えた。

「だからって初対面の君たちにあんな醜態をさらしちゃダメなんだけどね」
「いえ、理由を聞けたのでよかったです」
「ちゃんとぼくたちでフォローするから、何かあったら言ってね」

 井上の言葉に、清水の顔が綻んだ。

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