恋に落ちた瞬間(とき) 58
とちぎさんによる写真ACからの写真

≪ 四、思い出話に花を咲かす 3 ≫



「うん。えへへ。
そういえば、お祖父ちゃんはお祖母ちゃんの笑った顔が大好きなんだって」
「なっ、急になんてことを言うんだいこの子は!」
「そのときお祖父ちゃんが言ってたことを思い出したんだもん」

 悪びれず言い切る清美の言葉に、正子が顔を真っ赤にして口をパクパクと開閉している。

「それはお狐様も同じですよ清美様。
お狐様も清美様の笑顔がとてもお好きだとおっしゃっていたではありませんか」
「なっ! つ、艶子さん!」

 艶子のからかいに、清美は正子と同じように頬を赤く染めた。
頭から湯気が出そうなほどの顔色に、園子は口元を緩める。

「ふふふ。艶子様、清美とお狐様のことを今つついては実るものも実りませんわ。
もう少し見守っていましょう」
「それもそうですね。ふふふ、私としたことが」

 艶子が小さく左右に顔を揺らした。清美が怯えたような顔でこちらを見る。

「な、何を言ってるの、2人でコソコソ相談されるとなんか怖いー」
「相談なんて何もしていないわよ。
艶子様がお義父様の愛はすごいって言うから、
お義母様だって負けていませんよって言っていたの」
「園子さん!」
「何それ! どういうこと?」

 正子と清美の声が重なった。
正子が言うなと瞳で訴えてくるが、園子は気づかなかった振りをした。

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