夕立 10
K-systemさんによる写真ACからの写真

  四



「場所を変えようか」


 叔父がおどけたしぐさで右手を差し出してくる。


「いえ、わたしは別に……」
「あ、私、お茶煎れ直します」


 首を左右に振るわたしを見て席を立ち上がりかける美喜に向い、
いや、と叔父は視線だけを彼女へ向けやんわりと行動を制した。


「積もる話もあることだし、向かいの茶店にでも行こう」


 頷いたわたしはしかし、差し出された手は取らず扉へと向った。

すれ違う途中、心配げに見送る美喜に肩を竦める叔父の姿が目に入った。

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オープニング背景画像: K-factoryさんによる写真ACからの写真