夕立 12
K-systemさんによる写真ACからの写真

  五



「だが、やはり少し痩せたね」


叔父は氷水の入ったコップを両手で包み込みながら、口元を綻ばせる。


「本当のことを言うと、電話したとき出てくれるかどうか心配だったんだ。
もしかすると、君も彼の後を追って死んでいるんじゃないか、なんてね」
「ユキ叔父……」


 おどけた口調で語る叔父の瞳は以外に真剣で。

だが、わたしはこの人が時折見せるそんな表情がひどく苦手だった。

どうしても叔父の目を直視できず、視線を街の往来へと泳がせる。

そこへ、先刻とは違う店員がやって来た。

場違いなほど明るい声で注文の品を差し出す彼女に、わたしたちは形ばかりの礼を言う。

叔父は好物のキリマンジャロを口にして満足げに一息吐くと、
手にしたカップをゆっくりと回転させつつ口を開いた。

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