夕立 17
K-systemさんによる写真ACからの写真

  五



「この件に関しては、今は君に任せるのが一番適任だ、と僕は思う」


 わたしは何も言えず、黙り込んだ。

だが、叔父も黙ったまま、
駄目押しとばかりに分厚い茶封筒をテーブルの上へ置いた。

今度こそ正真正銘の、調査資料である。


「まあ結果から言ってしまえば、
依頼主である大谷優が生きているはずはないんだ。
でも僕らの依頼主は自分のことを大谷優だと名乗っている。
これが何を意味するのか。
興味があるんだ。
どうしてそうまでして大谷一家の行方を知りたいのか。
何しろ、本人である証拠を見せろと言ったら、
これを事務所に送りつけてきたくらいだ。
ただの興味本位とは思えなくってね」


 叔父がシートに入ったままの焼け焦げた紙切れをひらひらさせる。

新たに手渡されたコーヒーを口にし、
苦いな、と呟く彼を見つめながら、わたしは溜め息を吐いた。

しかたなく茶封筒を引き寄せる。

封筒から中身を取り出し、
苦々しい思いを抱えたまま調査の細かな打ち合わせに入った。

 話が終わると叔父は会心の笑みを浮かべ、空になったコーヒーカップで乾杯の仕草をしてみせる。

わたしはそんな彼を無視して席を立ち、会計へと向う。

後を追ってきた叔父が、
こちらが呼びつけたのだから、とわたしを店の外へと押しやった。

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