夕立 18
K-systemさんによる写真ACからの写真

  五



「すまなかったね」


 会計を済ませて出てきた叔父は開口一番に詫びてきた。

何に対しての言葉なのか分からず、
コーヒーごちそうさまでした、と当たり障りのない返事をする。

それから事務所に辿り着くまでの距離、わずか十数歩。

叔父は何度も何か言いたげな顔をしたが、
結局無言のまま事務所の前へと到着した。


「それじゃあ、わたしはこれで」


 一礼すると、叔父は、ああ、と軽く手を挙げ俯く。


「姉さんたちには、伝えておくよ。紗っちゃんのこと」
「お願いします」
「ああ。でも……」


 でも、の続きを叔父は言い淀む。

続きを聞きたくなくて、わたしは踵を返した。


「せめて、見守るくらいのこと、させてくれないかな」


 去り際、苦しげな溜め息と共に呟いた叔父の言葉に、
わたしは気づかぬふりをした。

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