夕立 21
K-systemさんによる写真ACからの写真

  六



「どうぞ、お入りください」


 声が響いてくる。


「暗くて申し訳ありません。
実はついさっき突然雷が落ちてしまいましてね。停電になってしまった
ものですから」
「いえ」


 答えながら、
想像していたより高い声をしているな、と眉根を寄せる。

口調ははきはきとしているけれど、どこか頼りなげな女性の声に感じた。

 依頼主は実は女性だったのだろうか。

履いていた靴を脱ぎながら考えた。

だとすれば、幽霊云々以前の問題だろう。

大谷優は正真正銘男性のはずだからだ。

奥へ行くべきか悩んでいると、再び声がした。


「申し訳ありませんが、ちょっと今手が離せなくて。
僕のいるところまで来てくださいますか?」
「あ、はい」


 慌てて靴をそろえ、奥のリビングへと向う。

正直、この家を見てからというもの、すべてにおいて気後れしていた。

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オープニング背景画像: K-factoryさんによる写真ACからの写真