夕立 25
K-systemさんによる写真ACからの写真

  六



 一度言いにくいことを吐き出してしまうと、
後は存外すらすらと言葉が出てくるものだ。

変に自賛しながらカップを置くと、優が肩を竦める。


「それは間違いですね」


 間髪入れずに言い切る優へ、わたしはさらに言を重ねた。


「しかし、当時のありとあらゆる資料を当たってみても、
それ以外の結論を導き出すことができませんでした。けれど……」
「けれど?」
「あなたは現にここにいらっしゃいますね」
「そうです」


 重々しく優が頷いた。

わたしも同意して、かねてから思っていた疑問を口にした。


「わたくしどもには、そこがどうしても理解できません。
言いにくいことですが、そもそも当事務所になさった依頼内容の意味も
いささか釈然としないと申し上げる他ありません」
「そうですか」
「あなたが真実ご本人であることを前提でお訊きいたしますが、
できれば、何故今回のような依頼をなさったのか、
聞かせてくださいませんか?」


 優は黙ったまま瞑目しているようだった。

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