夕立 33
K-systemさんによる写真ACからの写真

  七



「あの……」


 わたしは震える声を抑えながら優に問いかけた。

風が窓に雨を叩きつけ、ガラスを激しく揺らしている。


「なんでしょう」


 その光景に見入っていたらしい優が、
我に返ったように目を瞬き見つめてきた。


「一応、確認のためにお訊きしたいのですが」
「構いませんよ。わたしに答えられることならなんでもお話いたします」


 ありがとうございます、とわたしは心持ち頭を下げる。


「それでは、お言葉に甘えて一つだけ。
あなたのご家族は、正確に言って、何人いらっしゃるのでしょうか?」


 彼は虚を突かれたような顔をして、ああ、と破顔した。


「僕を入れて家に住んでいたのは八人です」


 僕には母が三人いるんですよ、と彼は語る。


「僕を産んでくれた母親と、
病気がちの母に代わって僕を育ててくれた、父の愛人二人です」


 なんでもないことのように語る真実が何よりも痛々しく、
胸に突き刺さった。

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