夕立 37
K-systemさんによる写真ACからの写真

  七



「あなたは……いえ、君は、
君の周りの人たちが『崩れていった』と言っているけれど。それは違うわ」


 優が眉を顰め不快げな表情で見据えてくる。


「どういう意味でしょう?」
「あなたは子供だということよ」
「理解できませんね。僕は大人ですよ」


 優が大仰に肩を竦める。わたしはかぶりを振った。


「あなたは、いえ、君は子供よ。幼いごく普通の」
「違いますよ。見れば分かるでしょう?」
「ええ、分かるわ。はっきりと」


 嘲り、嘲笑を含んだ優の口調をはっきりと否定して、
わたしは鞄を手にする。

中から手鏡を取り出すと、優へ突きつけた。

鏡は稲妻の閃光に照らされて、優の姿を映し出す。

子供の姿をした、彼の真実の姿を。


「な」


 彼は呻いた。

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オープニング背景画像: K-factoryさんによる写真ACからの写真